福岡歯科大学

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学部・大学院

口腔・顎顔面外科学講座について

講座概要

当講座は2001年4月、従来の第1、第2口腔外科学講座を大講座として統一し、口腔外科学、口腔腫瘍学という2つの分野から組織されています。口腔外科学分野は顎骨を中心とした口腔・顎顔面の機能形態学の疾患を担当し、口腔腫瘍学分野は口腔粘膜や唾液腺などの軟組織を中心とした疾患を担当していますが、両分野が一緒に診療・研究・教育を行っています。またこの講座には、スポーツ歯科と2006年からは口腔医療センターが併設され、2020年からは顎変形症センターが新たに併設されました。

主任教授挨拶

口腔・顎顔面外科学講座 口腔外科学分野 教授 池邉 哲郎

口腔・顎顔面外科学講座は口腔外科学分野と口腔腫瘍学分野からなりますが、その違いは厳密なものではありません。平たく言いますと、口腔外科学分野はあごの骨や関節の病気(硬い組織の病気)について、口腔腫瘍学分野は腫瘍など口の粘膜の病気や唾液腺の病気(軟らかい組織の病気)について研究し、その成果を臨床や教育に生かしています。どちらの分野も医科歯科総合病院では「口腔外科」という診療科で患者さんを治療しています。最近、新薬の副作用によって口やあごに新たな病気が現われることがありますが、医科と歯科との間を橋渡しする研究も私たちの大切な役目です。

それぞれの名称をクリックすると、詳細情報に移動します。

口腔外科学分野

当分野は、講座主任教授 口腔外科学分野教授池邉哲郎が顎変形症・顎関節疾患・顎顔面外傷・スポーツ歯科などを中心に、口腔内に発症する様々な病気のメカニズム、診断法、治療法について教育、研究と診療を行っています。
 その主旨は、次の3項目です。
  1. 当分野で勉強する人達に全身医学と基礎医学を通して口腔・顎顔面領域の医療を理解させること
  2. 救急処置・全身管理・医科歯科連携力を身につけさせること
  3. 口腔外科全般にわたってEBMに基づく知識や外科技術を習得させること
そして、口腔外科専門医取得を目指し、専門性の高い口腔外科医の養成を目標としています。

担当する主な疾患系統

『顎変形症に対する外科矯正手術』

上下左右のアゴ骨のアンバランスから顔の変形や噛み合わせの異常が生じる事があります。このような患者様の上アゴや下アゴを切って前後に移動させることによって変形の治療を行います。このような治療は矯正歯科との協力が大切です。本院では矯正歯科と話し合って治療計画を立てています。また、安全な骨切りや手術に伴う合併症を少なくするために研究を行っています。

顎変軽症に対する外科矯正手術.jpg

『顎関節疾患』

アゴを動かすと痛い、口を大きく開けようとしても開けられない、口を開けるとカクカク音がするなど、いわゆる顎関節症で悩んでいる方に対して専門的な治療を行っています。入念な問診をとり、必要があればMRI(磁気共鳴画像法)画像による診断も行っています。理学療法(超音波による温熱療法など)、上関節腔洗浄・パンピング・マニピュレーション、開口訓練、スプリント作成など様々な治療を行っています。

『顎顔面外傷』

交通事故や転倒で顔面を打撲したりアゴを強打すると、唇や舌を切ったり、歯が抜け落ちたり、アゴを骨折したりします。このような外傷を、縫合したり、歯をもとに戻したり、入院手術などで治療します。特にアゴの骨折は、噛み合わせがずれたり、口が開かなくなりますから専門的な治療が必須です。打撲で抜け落ちた歯は牛乳に入れてすぐに持ってきてください。

『補綴前外科・顎顔面インプラント埋入術』

歯を失った場合,義歯(入れ歯)やインプラントによって咀嚼能力を回復させ食生活の改善を図りますが、より良い義歯やインプラント治療には歯槽部(歯ぐき・義歯やインプラントを支える土台)の骨が十分にあることが大切です。もし骨が不足している場合、自身の体の一部から骨を移植(自家骨移植)して歯槽部の骨を増やす治療があります。また、義歯を作る際に邪魔になる骨の盛り上がりを、削って除去したりする治療があります。これらを補綴前外科と呼びます。骨の移植の後はお近くの歯科医院で義歯やインプラントをしていただく『病診連携』を積極的に行います。また、癌治療などで再建された顎骨へのインプラント埋入も行います。
注) インプラント治療目的の骨移植や骨増生は、健康保険適用外となります。
注) 癌などで手術を受けた顎骨のインプラントは保険適用となります。

腓骨・メッシュプレートによる顎骨再建.jpg

『スポーツ歯科』

スポーツに伴う歯やアゴの外傷が増えています。特に子供ではこのような外傷が歯並びやアゴの発育にも影響します。このようなコンタクトスポーツをする方には、マウスガード(マウスピース)を装着してスポーツすることをお薦めします。これだけで歯やアゴの外傷を予防できます。マウスガードの普及や、スポーツ外傷の予防に対しての研究を行っています。
詳細は医科歯科総合病院スポーツ歯科センターのページへ。

口腔外科学分野 所属教員

     
教授 池邉 哲郎
講師 勝俣 由里
助教 横尾 嘉宜

口腔腫瘍学分野

当分野は口腔粘膜や唾液腺などから発生する口腔がんや粘膜疾患、歯性感染症、全身疾患に由来する口腔の疾患などを担当しています。口腔・顎顔面外科学講座としての大講座制のもと、口腔外科学分野と一緒に診療・研究・教育をしています。
当講座の目標は、
1. 口腔から全身の医学を通して口腔医学を理解すること
2. 口腔外科全般にわたるEBMに基づく知識や外科技術を習得すること
3. 口腔外科疾患の診療とともに救急処置・全身管理・医科歯科連携力を身につけること
4. 口腔外科専門医取得を目指し、専門性の高い歯科医師の養成をすること

担当する主な疾患系統

『顎・口腔領域の腫瘍および口腔がん』

口腔内には種々の良性腫瘍や舌癌をはじめとして、頬粘膜癌、口底癌、歯肉癌といった悪性腫瘍や、唾液を分泌する腺である耳下腺、舌下腺、顎下腺その他小唾液腺等にできる良性または悪性腫瘍があります。悪性腫瘍は、当然ながら生命に関わる重大で全身的な管理を要する疾患です。これらの疾患の根治的治療として外科的に切除し、首のリンパ節に転移が認められる場合は周囲組織とともにリンパ節を摘出する手術(頸部郭清術)や形態・機能を回復するための再建手術も積極的に行っています。また腫瘍外来を設けており、専門の口腔外科医が定期的フォローを行っています。さらに必要であれば本院の内科・外科・耳鼻咽喉科や国立病院機構九州医療センター放射線科をはじめ、周辺の協力病院とともに集学的治療を行います。

『口腔粘膜疾患』

口腔粘膜の症状は水疱形成、紅斑やびらん(粘膜のただれ)、潰瘍、白斑、色素沈着などがあります。その原因としてウイルス感染症や前癌病変(癌になる前の病変)、全身的疾患の一症状として口腔粘膜に症状が現れるものもあります。また、味覚異常に対して、血液検査による亜鉛量測定や、ろ紙ディスクによる検査も行っています。

『顎・口腔領域の炎症性疾患』

口腔内は常在菌が多く、むし歯からの根尖(歯の根)あるいは歯の周りの組織に菌が感染すると、そこから炎症が起こり,顎や口の中、顔面に膿が溜まって腫れあがり激しい痛みを伴うことがあります。そのような炎症を歯性感染症といい、切開排膿や抗菌薬の投与などの消炎処置を行っています。また上顎臼歯部の根尖部から上顎洞にまで炎症が波及し、鼻閉感(鼻づまり)や頬部の痛み・腫れなどを認めることがあります。これは歯の病気が原因で上顎洞の粘膜が腫れ、膿が溜まったもので、歯性上顎洞炎と呼んでいます。このような疾患も口腔外科で扱っています。

『顎・口腔領域の嚢胞性疾患』

顎・口腔領域において嚢胞(流動性または半流動性の内容物を含んだ袋状の病的構造物)を形成する病気が顎骨や口の中や首に生じます。治療としては小さなものはそのまま摘出できますが、大きなものでは袋の内容物を出してサイズが小さくなるまで待って摘出する治療法(開窓療法)等を行うことがあります。

『唾液腺疾患』

唾液腺(つばを作る腺)は人間には大きく3つ(耳下腺・舌下腺・顎下腺)あります。これらの炎症、腺の中に石ができた(唾石)、腫瘍、唾液の出が悪くなった・・・等の疾患も口腔外科で取り扱う疾患です。口腔乾燥症(ドライマウス)は色々な原因で起こりますが、シェーグレン症候群等の難病指定されている自己免疫疾患もあります。
(右のCT画像の楕円形の白いところ(矢印)は顎下腺の中にできた石<唾石>です)

『口腔内科的疾患』

口腔内には、ドライマウス(口腔乾燥症)、舌痛症、三叉神経痛、ウイルス感染症(ヘルペスや帯状疱疹など)、真菌感染(口腔カンジダ症など)、神経麻痺(顔面神経など)、口内炎、自己免疫疾患(シェーグレン症候群など)等の内科的な病気も多数発生します。そのような病気の原因を探り、医科の専門医(内科医・膠原病医・心療内科医など)と連携しながら治療します。激しい疼痛や神経症状を伴う疾患の場合は、当院麻酔科(ペインクリニック)と共同で治療にあたる場合もあります。

研究テーマ

口腔・顎顔面外科学講座では、分野の枠にとらわれず研究を進めていますので、講座としての主な研究テーマを列挙します。
1.顎関節症の発症要因と病態に関する研究
2.顎顔面外傷の予防と治療に関する研究
3.顎変形症の治療と術後の機能に関する研究
4.顎矯正手術後の顎態の安定性と影響因子に関する研究
5.顎骨再生に関する研究
6.薬剤関連顎骨壊死の発症メカニズムについての研究
7.口腔癌・前癌病変・口腔粘膜疾患の疫学的研究
8.口腔癌の浸潤・転移の分子機構についての研究
9.  口腔扁平上皮癌における免疫チェックポイントとがん免疫寛容機構との関連に関する研究
10. 化学療法剤による口腔扁平上皮癌細胞のアポーシス誘導促進に関する研究
11.酸化ストレスと口腔粘膜老化及び口腔発がんに関する研究
12.放射線および抗癌剤性口内炎の分子機構についての研究
13.顎骨再建ならびに軟組織再建の臨床的研究
14. 口腔癌再建術後の口腔機能についての研究
15.唾液線の再生と修復に関する研究

口腔腫瘍学分野 所属教員

教 授 平木 昭光
准教授 橋本 憲一郎
講 師 佐々木 三奈
講 師 吉住 潤子
助 教 有田 英生
助 教 秋本 琢磨

研究業績