歯科医師臨床研修プログラムⅠ
令和5年度福岡歯科大学医科歯科総合病院歯科医師臨床研修プログラムⅠ
〔プログラム番号050030201〕
1.プログラムの特色
本院における歯科医師臨床研修は、基本的・総合的な診療能力を有し、口腔と全身との関係を深く理解し、高いコミュニケーション能力と豊かな人間性を備えた、患者から信頼される歯科医師を育成することを目的とする。 福岡歯科大学医科歯科総合病院(管理型研修施設)は医科診療科が設置され、医科・歯科の連携や多職種チーム医療を学ぶのに適した環境である。また、九州を中心に中国・四国・関西・東京圏にも協力型臨床研修施設があり、地域医療の現場で5か月間の研修ができる。
2.臨床研修の目標
到達目標の策定にあたっては、望ましい基本的価値観(別表A)を涵養し、歯科医師として必要な資質・能力(別表B)の獲得向上に取り組むことができることを念頭においた。
Ⅰ.基本的診療能力等
(1)基本的診察・検査・診断・診療計画
① 患者の心理的・社会的背景を考慮した上で、適切に医療面接を実施する。
② 全身状態を考慮した上で、顎顔面及び口腔内の基本的な診察を実施し、診察所見を解釈する。
③ 診察所見に応じた適切な検査を選択、実施し、検査結果を解釈する。
④ 病歴聴取、診察所見及び検査結果に基づいて歯科疾患の診断を行う。
⑤ 診断結果に基づき、患者の状況・状態を総合的に考慮した上で、考え得る様々な一口腔単位の診療計画を検討し、立案する。
⑥ 必要な情報を整理した上で、わかりやすい言葉で十分な説明を行い、患者及び家族の意思決定を確認する。
(2)基本的臨床技能等
① 歯科疾患を予防するための口腔衛生指導、基本的な手技を実践する。② 一般的な歯科疾患に対応するために必要となる基本的な治療及び管理を実践する。
a.歯の硬組織疾患b.歯髄疾患c.歯周病d.口腔外科疾患e.歯質と歯の欠損f.口腔機能の発達不全、口腔機能の低下
③ 基本的な応急処置を実践する。
④ 歯科診療を安全に行うために必要なバイタルサインを観察し、全身状態を評価する。
⑤ 診療に関する記録や文書(診療録、処方せん、歯科技工指示書等)を作成する。
⑥ 医療事故の予防に関する基本的な対策について理解し、実践する
(3)患者管理
① 歯科治療上問題となる全身的な疾患、服用薬剤等について説明する。② 患者の医療情報等について、必要に応じて主治の医師等と診療情報を共有する。
③ 全身状態に配慮が必要な患者に対し、歯科治療中にバイタルサインのモニタリングを行う。
④ 歯科診療時の主な併発症や偶発症への基本的な対応法を実践する。
⑤ 入院患者に対し、患者の状態に応じた基本的な術前・術後管理及び療養上の管理を実践する。
(4)患者の状態に応じた歯科医療の提供
① 妊娠期、乳幼児期、学齢期、成人期、高齢期の患者に対し、各ライフステージに応じた歯科疾患の基本的な予防管理、口腔機能管理について理解し、実践する。② 各ライフステージ及び全身状態に応じた歯科医療を実践する。
③ 在宅療養患者等に対する訪問歯科診療を経験する。
④ 障害を有する患者への対応を実践する。
Ⅱ.歯科医療に関連する連携と制度の理解等
(1)歯科専門職の連携
① 歯科衛生士の役割を理解し、予防処置や口腔衛生管理等の際に連携を図る。② 歯科技工士の役割を理解し、適切に歯科技工指示書を作成するとともに、必要に応じて連携を図る。
③ 多職種によるチーム医療について、その目的、各職種の役割を理解した上で、歯科専門職の役割を理解し、説明する。
(2)多職種連携、地域医療
① 地域包括ケアシステムについて理解し、説明する。② 地域包括ケアシステムにおける歯科医療の役割を説明する。
③ 在宅療養患者や介護施設等の入所者に対する介護関係職種が関わる多職種チームについて、チームの目的を理解し、参加する。
④ 訪問歯科診療の実施にあたり、患者に関わる医療・介護関係職種の役割を理解し、連携する。
⑤ 離島やへき地における地域医療を経験する。
⑥ がん患者等の周術期等口腔機能管理において、その目的及び各専門職の役割を理解した上で、多職種によるチーム医療に参加し、基本的な口腔機能管理を経験する。 ⑦ 歯科専門職が関与する多職種チーム(例えば栄養サポートチーム、摂食嚥下リハビリテーションチーム、口腔ケアチーム等)について、その目的及び各専門職の役割を理解した上で、チーム医療に参加し、関係者と連携する。
⑧ 入院患者の入退院時における多職種支援について理解し、参加する。
(3)地域保健
① 地域の保健・福祉の関係機関、関係職種を理解し、説明する。② 保健所等における地域歯科保健活動を理解し、説明する。
③ 保健所等における地域歯科保健活動を経験する。
④ 歯科健診を経験し、地域住民に対する健康教育を経験する。
(4)歯科医療提供に関連する制度の理解
① 医療法や歯科医師法をはじめとする医療に関する法規及び関連する制度の目的と仕組みを理解し、説明する。② 医療保険制度を理解し、適切な保険診療を実践する。
③ 介護保険制度の目的と仕組みを理解し、説明する。
3.プログラム責任者
責任者 |
米田 雅裕 |
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4.副プログラム責任者
副責任者 |
畠山純子、山口真広、大城希美子、水上正彦、宮園祥爾、藤﨑誠一、前芝宗尚、 橋本憲一郎、馬場篤子、石井太郎、手嶋直美 |
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5.協力型(Ⅰ)研修施設
施設名等については、協力型(Ⅰ)研修施設(83施設)一覧を参照のこと
研修内容 | 高頻度治療、地域医療 |
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研修期間 | 5か月 |
6.臨床研修を行う分野及び臨床研修施設又は協力型臨床研修施設ごとの研修期間
福岡歯科大学医科歯科総合病院(7か月)
初期研修(オリエンテーション、シミュレーション実習等)
上掲のすべての到達目標項目目
専門診療科における研修
協力型(Ⅰ)研修施設(5か月)
上掲のすべての到達目標項目
7.研修歯科医の指導体制
研修管理委員会 | 臨床研修プログラム及び研修歯科医の管理、評価を行う。委員長は病院長とし、委員はプログラム責任者・副責任者、協力型臨床研修施設の指導責任者等である。 |
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歯科医師臨床研修委員会 | 臨床研修運営計画の立案及び実施について協議するための委員会で、委員長には病院長をあてる。委員には各診療科の教授のうちから総合歯科、保存(むし歯)・歯周病科、補綴(入れ歯)科及び口腔外科より各1人、その他の診療科より2人、福岡歯科大学事務局長、その他大学長の指定する者で構成される。 |
指導歯科医 | 臨床研修のため、病院に歯科医師臨床研修指導歯科医(以下「指導歯科医」という。)を置き、定められた研修期間を通し、研修歯科医を教育、指導する。指導歯科医は、臨床研修プログラムに基づき、研修歯科医の研修目標の到達状況を把握し、その都度適切な指導を行う。指導歯科医は、指導歯科医講習会を受講し修了した者、または、5年以上の臨床経験を有する者であって病院長が認定した者とする。 |
8.研修歯科医の募集定員並びに募集および採用の方法
定員 | 95名 |
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募集 | 公募による |
選考試験 |
筆記試験および面接試験
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採用方法 | マッチングシステムによる |
9.研修歯科医の処遇
福岡歯科大学医科歯科総合病院
給与 | 研修手当 136,600円/月 通勤手当 一律 5,000円/月 宿直手当 10,500円/回 |
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勤務時間 | 午前8時30分~午後5時15分 |
身分 | 常勤 |
休暇 |
土曜日(シフト制で勤務あり)、日曜日、祝祭日、年末年始 年次有給休暇 採用日から6月経過後に10日付与 |
時間外勤務 | なし |
研修歯科医のための宿舎 | なし |
研修歯科医室 | あり |
公的医療保険・ 公的年金保険 |
日本私立学校振興・共済事業団に加入。 |
労働者災害補償保険、 雇用保険 |
あり |
職員健康診断 | 年1回実施 |
歯科医師賠償責任保険 | 自己負担 |
外部の研修活動 | 学会、研究会等への参加は研修として認める。但し、費用は自己負担。 |
協力型(Ⅰ)研修施設
各施設の処遇に従う。