介護福祉士志望者並びに介護施設従事者確保に
ついての意見書を厚生労働大臣宛に送付しました。




  平成19年10月30日

厚生労働大臣

舛 添 要 一 様


         学校法人 福岡歯科学園

             理事長 田 中 健 藏

      福岡医療短期大学

       学 長 栢   豪 洋

      介護老人保健施設「サンシャインシティ」

       施設長 松 葉 健 一

         介護老人福祉施設「サンシャインプラザ」

       施設長 藤 田   猛

 

介護福祉士希望者並びに介護施設従事者の確保について(お願い)

超高齢社会の到来とともに高齢者人口は、今後着実に増加し、老人介護保険制度の充実は大きな社会問題となっております。とくに、近年、介護施設従事者の確保が困難となっている事実は、新聞各紙が、すでに報じている所です。このような状況が進行すれば、わが国の介護保険制度が崩壊の危機に直面することは明らかであります。
 介護福祉士は介護サービスを専門とする国家資格として位置づけられ、そのための教育制度が昭和63年に開始され、平成19年で約20年が経過しました。現在、介護福祉士は、国家資格を持ちながら、無資格者と同等の低い給与体系で遇されており、その専門性も評価されず、低い社会的評価に甘んじています。
 期待に胸膨らませて、介護福祉士として就職しても処遇の悪さや厳しい労働条件に直面し、専門職業人としての自信を喪失し、離職者が相次ぐ現状は、高齢者の介護にとって誠に憂慮すべき状態と思料いたします。財団法人「介護労働安定センター」の介護労働実態調査によると、介護現場で年間5人に1人が離職し、その1割以上が就業後1年未満で退職した(毎日新聞 平成19年8月14日付)という結果がえられています。
 この離職率の高さの要因は①低い給与水準(一生懸命に働いても、人並みの家庭生活が維持できない)②厳しい労働環境③低い社会的評価④将来に希望がもてない等によるといわれ、これらが悪循環を形成して、離職率上昇に拍車をかけています。これらの要因が介護福祉士志願者の激減を招き、介護福祉士養成校は定員割れにより、存続の危機にさらされており、福岡県内でも廃校に追い込まれる所が出ています。介護現場では介護保険の給付の引下げが連続して行われた結果、現行の介護給付制度では介護施設従事者の給与の財源確保がさらに困難となり、この制度の見直しと改善が必須と考えます。現に本学園内の介護施設で、平成19年4月に介護施設従事者の処遇を少しでも改善するため給与を改定しましたが、全収入に対する人件費の割合が60%を超えてしまう状況になりそうです。
 福岡歯科学園のキャンパスには、福岡歯科大学および医科歯科総合病院のほかに平成14年8月に介護老人保健施設サンシャイン・シティ(入所定員85名、短期入所療養介護・介護予防短期入所療養介護・通所リハビリテーション)、さらに、平成15年10月には特別養護老人ホームサンシャイン・プラザ(入所定員100名、ショートステイ10名、デイサービス20名)の2施設を開設し、教育・医療・保健・福祉の地域センターを目指しています。また、福岡医療短期大学では歯科衛生学科と保健福祉学科(介護福祉士を養成)が協力して「口腔介護教育」を行っており、その特色ある教育は平成18年度文部科学省「特色ある大学教育支援」の対象校に採択されております。
 とくに、上記保健福祉学科で介護への情熱をもつ学生を、質の高い介護福祉士に教育しても、卒業後就職先での処遇の悪さに失望し離職してしまう状況は、貴重な人材や支援体制の崩壊を招き、理想的な施設または在宅介護には程遠い現状であります。このような状況を打破する方策として、介護福祉士に介護関連の専門的技術を付与する制度を設け、処遇改善に繋げるのも一法と考えます。
 介護福祉士が社会人として自立し、社会に貢献できるよう、自らの生活が安定し、他者の介護・生活支援ができるような処遇改善がなければ、人材の確保はますます困難となります。
 平成19年8月に出された厚生労働省告示(第289号)および厚生労働省社会・援護局長通達(第0828002号)はこのような状況をふまえ公表されたものと認識しております。先の厚生労働省告示についての意見の公募に対し、本学園から田中健藏理事長名で、去る平成19年10月17日付で意見書を提出いたしました。
 介護保険制度の改善・充実に向けて具体的に①介護福祉士の処遇改善 ②介護福祉士への専門的技術の付与 ③介護保険制度の見直しと改善等の方策を強力に推進していただくよう切に願うものです。
 何卒、よろしく御検討の上、御見解を教示たまわりたく存じます。

追伸:福岡医療短大、介護老人保健施設および介護老人福祉施設の現場の意見を別添資料として添付しております。