【平成28年度】

 ・卒業式

理事長挨拶

 


 本日福岡歯科大学を第39期生として卒業する皆さん、大学院を第29期生として修了し、歯学博士の学位を取得される皆さん、おめでとうございます。 併せて、今日の卒業式、修了式を心待ちにしておられたご家族・関係者の皆様にも心からお慶びを申し上げます。
 皆さん、3月11日という日がどんな日か覚えておられるでしょうか。皆さんが希望に胸をふくらませて入学された6年前、東北地方を中心に大きな地震とそれに伴う津波が起きました。今日は「東日本大震災」の発生した日です。日本は地震大国と言われるように、昨年は隣接する熊本県でも大きな地震が起き、甚大な被害と多くの尊い命が失われました。
 ここに改めて、震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。
 この2つの震災で本学は、日本歯科医師会や九州地区連合歯科医師会からの要請により、歯科医師と歯科衛生士の支援チームを被災地に派遣いたしました。このうち昨年の熊本地震では、震災直後から2度にわたって支援チームを派遣し、老健施設、障害者施設および居宅の要介護高齢者などの口腔管理、摂食嚥下のアセスメントや嚥下指導を行い、誤嚥性肺炎による震災関連死をゼロにすることを目標に活動し、献身的な支援に対して高い評価を受け「災害時多職種医療連携」における歯科のプレゼンスを高めることができたと思います。そして何より福岡歯科大学が被災者の方々の健康維持に貢献できたことを誇りに思う次第です。この支援活動は、本学が提唱する「口腔の健康から全身の健康を守る」という「口腔医学」が実践されたひとつのケースではないかと思います。今回、大学を卒業される皆さんは、本学が提唱するこの「口腔医学」を学び、他の歯科大学では習得することができない歯科医学の知識を持って社会に巣立っていかれるわけです。現在の超高齢社会のなか、有病者の割合も高くなっており、歯科治療を受ける患者の中には糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞などの病気をもっている患者も増えていますので、患者の体の状態を正確に知っておくことがこれまで以上に求められています。したがって本学で学んだ「口腔医学」の知識は今後皆さんの臨床や研究の日常の現場で必ず役に立つと思います。
 この他、昨年10月には、4年に1度開催される歯科界最大の学会である日本歯科医学会総会が九州では初めて、この福岡の地で福岡歯科大学を主幹校として開催され、全国から約9,200名の研究者や臨床家の先生方にご参加を賜り、盛会裏に終了することができました。この総会では、国内外各分野における著名な先生方から、最新の歯科医学、新たな歯科医療の展開について様々なご意見やご示唆をいただき、参加者のモチベーションを高めるとともに、本学が全国に認知される良い機会となったと思っています。
 また、本学園は、この4月に福岡看護大学を開学し、医療・保健・福祉の総合学園として更なる発展、展開をしていきます。
 このように本学園は、「卒業生が誇れる母校」を目指して日々邁進しております。今後皆さんは、福岡歯科大学の同窓生としての自負と誇りをもって、患者さんや社会から信頼され、尊敬される歯科医師になられることを期待しています。
 大学院の課程を修了し、歯学博士の学位を取得された皆さん、それぞれの研究テーマに対して不断の努力を重ね、学位論文を完成させるには、大変な努力が必要であったことと思います。皆さんの努力と苦労は、今後の歯科医療、歯科医学の発展につながっていくものと確信しています。ただ、研究は学位取得で終わりというわけではありませんので、今後も研鑽を重ね、深い学識と卓越した能力を発揮し、世界最高水準の科学技術の創造と実践に努めていただきたいと思います。

 最後になりましたが、卒業生、修了生を今日まで熱心に指導してくださった先生方、そしてその勉学や生活に必要な支援を与えてくださった職員の方々にも、心から敬意を表し、御礼を申し上げたいと思います。
また、ご多忙のなかにもかかわりませず、本日の卒業式に御臨席を賜りましたご来賓の皆様並びに本学理事をはじめ学園、大学関係の皆様、そしてご家族の皆様に、厚く御礼申し上げます。
 重ねて、口腔歯学部卒業生、大学院修了生の前途を祝し、皆さんが元気で活躍されることを、そして福岡歯科大学の発展のために、私どもと共に尽力されることを期待して、お慶びの言葉といたします。
 皆さん、おめでとうございます。

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