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 大学院教育(研究指導)のあり方を考える企画として、GP(グッド・プラクティス)を紹介するインタビューをスタートしました。大学院生を指導される先生方の参考になれば幸いです。
 第5回は、口腔外科学の池邉哲郎教授、大学院1年生の森紘一郎先生、2年生の勝俣由里先生、4年生の長岡良礼先生と永沼香織先生にお話を伺いました。
 ※掲載の情報は、平成26年6月30日現在の情報です。

―現在、口腔外科学の大学院生は何名在籍していますか?

池邉:1年生が2名、2年生が2名、4年生が2名です。

池邉教授と大学院生ら
(池邉教授と大学院生ら ※左から森先生、勝俣先生、永嶌先生、長岡先生、永沼先生、田中先生)

 

―口腔外科という分野は3K、“きつい”、“汚い”、“危険”で何かと敬遠されがちなイメージがあるのですが、大学院生を確保するうえで何かされていることがあれば教えてください。

池邉:その点については、特に配慮していません。確かに3Kの要素はありますが、そもそも医療というものは3Kだと認識してほしいと思います。しかし、私は臨床と研究を統合して高度医療人を目指すには大学院が一番良い環境にあると思っていますので、研修医などで大学に残る意思がある人には声かけをしていますね。あとは先輩からの声かけなども大学院を志望するうえでは大きいようです。

 

―皆さんも口腔外科を専攻したのは先生や先輩の影響なのでしょうか?

勝俣:私は学生時代に登院実習でライターだった先生のおかげで口腔外科に興味を持ちましたし、当時バスケ部に所属していたのですが、多くのOBが口腔外科に所属していたこともあり、研修医になったら口腔外科に残りたいと思っていましたね。

勝俣由里 先生(大学院2年:勝俣由里先生)

 

長岡:私も部活の先輩から勧められたのは大きかったですね。

長岡良礼 先生(大学院4年:長岡良礼先生)

 

森:私はもともと観血処置に対する適切な処置と全身管理を学びたかったのですが、学生実習の時に指導してくださった先生に憧れました。

森紘一郎 先生(大学院1年:森紘一郎先生)

 

―先生や先輩の影響って大きいんですね。

永沼:私は登院実習の頃から外科処置やオペに興味があったのと患者様の全身状態を把握し、患者様に合った治療の選択や外科処置の手技の勉強ができると思って口腔外科を専攻したんですよ。

永沼香織 先生(大学院4年:永沼香織先生)

 

長岡:確かに私も先輩の影響もありますが、医療に関わる人間として、患者様の全身状態の把握や突発的な事項への対応など土台をしっかり固めたいという気持ちがあり、最も環境として適うのがここかなと―。

 

―先生は口腔外科学の魅力はどこにあると思われますか?

 

山口雄一郎先生(インタビューを受ける池邉教授)

 

池邉:口腔外科では常に全身状態と関連付けながら口腔内の疾患を“診断”、“治療”をしますが、その“診断”をすること自体が醍醐味なんです。なぜなら、それらの疾患は多彩多様だからです。“診断”によって、“治療”がいかようにも変わってきますから。それと歯学の中でも“病気とは何か?”、“生命とは何か?”という医学的な観点を常に見据えている領域ですから、まさに本学が推進する口腔医学は口腔外科が最も関与していると言えます。また、疾患が多彩多様ということはそれらを研究するという点で選択肢も広いわけです。

 

勝俣:私たちも単に患者様の口腔内を診るだけでなく、症状と全身疾患との関連にも配慮をしながら診療する癖がつくんです。やはりこれは口腔外科ならではだと思いますし、しっかりとした問診がとれるようにもなります。

 

森:確かに全身と口腔の関係について深く学べるのは口腔外科だと思います。

 

―口腔外科といえば臨床(診療)と研究とでは臨床が主なイメージが強いのですが…

池邉:そうですね。一般的には外科的な処置も多く手術など臨床ばかりやっているイメージがあると思います。1年生の時は100%口腔外科での臨床経験を積ませます。患者様がどういう悩みを抱え、どのような治療をしているのかといった現状と限界を知ること、そして患者様を思い出しながらどう関わっていくかを、研究する時でも常に意識するよう指導することに重きを置いています。

 

―やはり口腔外科は臨床重視なんですね。

池邉:確かに1年生ではそうですが、研究については基礎をベースにした研究を行っているんです。基礎系の教室へ依頼して臨床と基礎が交錯するようなテーマの研究を勧めています。やはり、基礎をベースにすることで足腰を鍛えるといいますか、将来患者様の役に立つ研究、独創的な研究ができると思うんです。本来、大学院の使命とはそういうものだと思うんです。私自身が所属していた研究室もそうでしたが、当教室の院生らも残り3年間、主に研究を行っています。もちろん、診療も合間をみながら行っています。

手術室での実践指導の様子(手術室での実践指導の様子)

 

―研究テーマを決めたのはいつ頃でしたか?

永沼:2年生の頃は別のテーマで研究をしていましたが、現在行っている研究テーマは3年生になってからです。口腔癌の患者様でも治療効果を含めた予後には大きな差が生まれることに臨床経験を通して素朴な疑問が芽生えたんです。そもそも口腔外科は臨床のイメージが強かったので、臨床と研究とのギャップにはじめは戸惑いましたね。それでもそのうち徐々に研究に慣れてきて、やりたいことが自分なりに絞られていったというところでしょうか―。

 

―研究テーマは先生がお決めになるのでしょうか?

池邉:こちらから提案する場合ももちろんありますが、本人の希望を尊重しています。

 

森:もちろん最終的には自分で決めましたが、再生医学の先生から“今こういう研究をしているんだけど一緒にやってみない?”とお誘いをいただいたことがきっかけでした。

 

長岡:私の場合は、臨床において多くの疾患を抱え、たくさんの薬を服用している患者様への外科処置に関して、より安全に進められないかと日々考えていたんです。それで池邉先生に相談し、大学院の先輩がビスホスホネート製剤の研究をされていたので、それを引き継ぐ形で細胞生理学にてお世話になることにしたんです。

 

―基礎系の研究となると基礎の教室で研究することになると思いますが、研究の進捗状況についてはどのようにして把握されていますか?

 

医局での勉強会(医局での勉強会の様子)

 

池邉:週に2回口腔外科の医局において勉強会を実施しています。どこの教室でもそうだと思いますが、勉強会での情報交換はとても有益ですね。それと年に1回、学会等での発表を行うことにしていますからその準備段階で各自の状況把握をしています。

 

勝俣:池邉先生には学生時代から部活の顧問をしていただいていました。いつもは冷静で落ち着いた雰囲気ですが、実は気さくな方でとても面倒見がよく熱血魂を持った先生なので相談しやすいですね。

 

永沼:臨床や研究等で一緒にいる時間が長いこともあり、とにかくみんな仲がいいですね。ですから情報共有もスムーズに自然とできているんだと思います。

 

―研究もそれだけしっかりやっていて臨床も…となると苦労されていることも多いのでは?

 

ジルコニア製のインプラント(術前指導の様子)

 

森:とにかく覚えることが多いです(笑)。解剖学や病理学、画像診断に全身疾患…。今まさに先生や先輩方に指導してもらいながら奮闘しています。

 

勝俣:確かに臨床においては、診療時間に関係なく、入院している患者様の診察がありますし、長時間の手術もありますので体力的には正直きつい時もあります。研究においても研究をはじめて間もないので分からないことも多く、手技的な面でも覚えることが多かったので慣れるまでは本当に大変でした。しかし、患者様とのふれあい、学ぶことの充実感があれば苦労だと感じることはありません。

 

長岡:患者様からの感謝の言葉は私のモチベーションにつながっています。臨床と研究の両立は大変難しいです。ですから現在私は、リコールで来られる患者様を除き、研究に専念させてもらっています。

 

―最近の研究で何かトピックス的なものがあれば教えてください。

池邉:永沼先生の癌研究や長岡先生のビスホスホネート研究は面白いと思いますよ。

 

永沼: 私は口腔癌の遺伝子のエピジェネティックな変化について研究をしています。細胞は同一の遺伝子情報を持っているんですが、臓器や組織ごとに必要な情報は異なります。この必要な情報を引き出す制御システムのことをエピジェネティクスといいまして、癌ではエピジェネティクスに異常がおこるんです。このエピジェネティクス異常の分子メカニズムを解明することで、将来、診断や病態の指標、さらに抗癌剤の開発につながればいいなと思っています。私も4年生になり研究もひと段落して今は論文作成に重点を置いていますが、今後も研究している以外の遺伝子でもエピジェネティックな観点から研究を行うと面白いのではないかと思っています。

 

長岡:ビスホスホネート製剤というのは1990年頃から骨粗鬆症などに対する有効な治療薬として臨床応用されましたが、10年程前から副作用としてビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ)をおこすことが大きな問題となっています。BRONJ発症のメカニズムについて不明な点も多く、自分の研究を進めることで、BRONJなどの副作用をもたない骨粗鬆症の治療薬などの開発につなげたいと思い、研究を続けています。

 

―お二人とも4年生で研究を続けていらっしゃいますが、口腔外科においては大学院修了後の進路などはどうされていますか?

池邉:基本的に助教、卒後助教、医員など大学に残るように勧めています。せっかくの研究ですから続けてほしいですよね。

 

―最後に、これから大学院を目指す学生さんや研修医に向けてメッセージをお願いします。

 

池邉教授

 

池邉:大学院重点化政策で、国立大学を中心に大学院進学を推進して学位がないと肩身が狭い…といった学位ありきな風潮がありますが、私は大学院では自由な発想で伸び伸びと勉強してほしいと思っています。何のために大学院へ行くのか?真理を極めたいでもよく、自分の人生を見つめ直すでもいいんです。大学院で違った人生が開けていく、価値観が変わるといったこともあると思うんです。私の友人には大学院進学がきっかけとなって臨床家を辞めて、基礎研究にはまり込んで教授になった方が多くいます。実際に専門医を取得するという点でもメリットになりますしね。皆さんには良い意味でのエリート意識、大学の後継者であるという意識を持ってほしいです。今後も大学院生がいずれ大学の人財になってもらえるよう指導していきたいと思います。

 

 

  お忙しい中、インタビューに御協力いただきありがとうございました。
  第6回は、分子機能制御学の山﨑純教授にお話をお伺いします。

 

【取材日:平成26年5月20日(火)/取材者:岡村和彦(病態構造学准教授)、淺田陽子(企画課主任)、有村麻利(総務課職員)/撮影者:土岐恭介(企画課職員)】

 

 

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