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 大学院教育(研究指導)のあり方を考える企画として、GP(グッド・プラクティス)を紹介するインタビューをスタートしました。大学院生を指導される先生方の参考になれば幸いです。
 第3回は、歯周病学の坂上竜資教授、大学院4年生の森南奈先生と村上弘先生、3年生の廣松亮先生と2年生の丸尾直樹先生にお話を伺いました。
 ※掲載の情報は、平成26年3月現在の情報です。

坂上教授インタビュー

 

―現在、歯周病学の大学院生は何名在籍していますか?

坂上:4年生が2名、3年生1名、2年生1名です。来年度も1名が入学予定です。。

 

―学生や研修医に声をかけるなど、大学院生を確保する工夫は何かされているのですか?

坂上:僕から声をかけてもなかなか難しいところがありますから。一番いいのは近しい大学院生が呼んでくれることだと思います。

 

―(大学院生へ)先生方が声をかけられているんですか?

村上:はい、興味がありそうな方にですね。

 

―歯周病学を専攻する魅力はどこにあると思われますか?

坂上:研究分野としては、再生医療、全身と歯周病との関わり、細菌学や力学的な咬合論と様々な研究の対象があり、臨床的な研究でも基礎的な研究でも本人の希望に応じた、個人にあった研究をできる分野だと思います。臨床をやりながら研究もできるというところが一番の魅力ですかね。

 

―基礎的な研究、臨床的な研究と色々あると思いますが、研究テーマは具体的にどのように決められているのですか?

坂上:基本的には大学院生とディスカッションをして、本人の希望に沿うような形で選んでもらっています。最初からこれをやりなさいという形でテーマを与えるのではないですね。分子生物学のような基礎的な手技などは、基礎系の先生方にお願いをしてトレーニングを積ませていただいています。

 

―研究テーマを決める時期はいつ頃でしょうか?

坂上:早い人は大学院に入る前から決まっていますし、遅い人でも1年生の終わりくらいに決まります。

 

―診療と研究のバランスはどのようにされていますか?

村上:最初は午前中に診療して、午後に研究をするというスタイルでしたが、そのうち、昼間は診療をしつつ合間をみて実験して、昼間にしかできないことをやり、実験データのまとめなどは終わってからやるようになりました。2,3,4年目となって効率よく時間を使えるようになっていったと思います。

 

丸尾:僕の場合はまだ模索しているところですね。

 

村上弘先生丸尾直樹先生

(大学院4年生:村上弘先生)     (大学院2年生:丸尾直樹先生)

 

森:私は研究がすごく好きなので、朝、昼、夜、土日と実験をしています。ただ研究のための研究ではなく、その先に患者さんを治したいという目標を掲げているので、先生方にアドバイスをいただきながら診療も行っています。

 

―森先生はすっかり研究にはまってしまわれたのですね。

森:日々の診療の患者さんだけではなくて、歯周病という病気を通じて出会ったこともない遠くの患者さんに貢献できるのが研究だと思います。治療だと目の前の患者さんだけに限られるんですが、もっと再現性の高い実験を通じて何かできたらと思っています。

 

坂上:そういう視点は大事ですね。一人一人の患者さんに向き合うという気持ちと、一人一人の患者さんを診て対応できる自分の力は限られているから、研究という形でもっと多くの患者さんに貢献したいという気持ちとどちらも大切です。自分にしかできない研究ができるのであればそれを還元し、そのために大学にいるのだという気持ちが必要だと思います。そうそう、森先生が東京女子医大に行っていた話をしましょうか。

 

森:はい。東京女子医大と早稲田大学との合同の先端生命医科学研究所が東京の新宿区にあるんです。そこで細胞シート工学の、歯科部門で言えば「歯根膜細胞シート」の研究に1年間携わりました。医学系だけではなく、理学系や工学系などのいろいろな大学・企業の方々が出向していたため、様々な部門がありました。それぞれ専門的な考え方とテクニックをもっている人ばかりで、何かわからないことがあれば、すぐに誰かに教えてもらえる環境が整っていて、充実した1年間を過ごしました。送り出してくれた福島先生や坂上先生、私がいない間に医局内の仕事をしてくれた同期や後輩達にはとても感謝しています。

 

森南奈先生(大学院4年生:森南奈先生)

 

―そちらの研究所に行くことになった経緯を教えて下さい。

森:再生医学研究センターの福島先生が、再生医療に携わる著名な先生方を大学にお招きしたんです。その時に講演にいらしていた先端生命医科学研究所の大和雅之先生から、研究所に見学に行った際に研究のお誘いを受けて留学しました。

 

―学んだことを還元する機会はありましたか?

森:再生医学研究センターは生理学分野と一緒に勉強会をやっていて、そこでちょうど口腔外科の府川先生もスイスに行ってらっしゃったので、それぞれが留学経験で学んできたことを後輩たちに話したりしています。実験の進め方だとか、実験データの計算についてアドバイスをしたりだとか、前よりはもう少しましな先輩になれたかなと思います。

 

―他の大学院生にもいい刺激になりますね。

坂上:本人の意思とチャンスがあれば、積極的に国内でも海外でも行っていろいろな経験を積んだほうがいいですね。大学の中だけにとどまっているよりも、ずっと世界が広がりますから。そういう先輩がいると、テクニカルなことだけでなくモチベーションやメンタリティを変えるモデルになりますし。

 

細胞シート(細胞シート)

 

―歯周病学分野の一番の魅力を教えて下さい。

村上:一番は「自由」。自由にテーマを考えて研究をしていけるというところが特徴です。つまり自分次第というところですね。この4人に関しても、それぞれの研究テーマは大学院に入ってから新しく立ち上げたものばかりです。大変ではありますが、レールがない分やりがいと面白味がありますので、そこが一番の魅力ですね。

 

廣松:歯周病というのは全身疾患の一部という位置付けであり、特に歯周組織は噛むための一番の土台ですので、そこにアプローチして詳しく勉強できるというのがすごくためになります。歯周病学は歯の大切さを改めてわかってもらい、口腔の意識を高めてもらうのに一番ためになるキーワードがたくさん入ってくる学問だと思います。ですから、この先もしっかり勉強していきたいと思っています。

 

丸尾:やはり基本的には自分で考えてやるというところですね。森先生もご自分の意志で東京女子医大に国内留学に行かれていますし、自分で時間を効率よく使う方法とか、その時々の状況に応じて考えるとか、そういった力を養うことのできる土壌があるのかなと思います。

 

森:本当に自由にやらせていただけるところだと思います。臨床もある程度自分のペースでできますし。自由というのは本当に色々と見極めないと、一歩間違ったら危ないんですが、その分全力ですべてにエネルギーを傾けられます。そういう環境を作って下さった坂上先生や、後輩達にも感謝しながら卒業したいと思います。

 

廣松亮先生(大学院3年生:廣松亮先生)

 

―先生方は大学院修了後に何かやりたいことはありますか?

村上:患者さんを治したいというのが一番根底にあり、大学院に入ったのももっといい治療法がないかなというのがきっかけだったので、研究のモチベーションは臨床にあるんです。だから臨床を前提とした研究、応用可能な研究を進めていきたいと思っています。その中でテーマになってくるのが、より簡単により安全にというところです。保険医の誰しもが、ある程度のレベルでできるという治療法を構築できれば、直接携わる患者さんだけではなく多くの人達の治癒にもつながるので、もっといい治療方法を見つけるためにこれから先も研究を続けていきたいと思います。

 

丸尾:私の場合、まだ少し先ですが、大学院に進んだのは患者さんの為というのと自分の為という2つの目的があります。まず、患者さんが困っていることを臨床をしながら学びたいということ。そして自分自身の為というのは、プレゼンがあまり得意ではないので、これは将来的にも必要になりますから、先輩方を手本にして勉強をしています。

 

(インタビューをうける大学院の先生方)

 

―先生はアメリカの歯周病学ボードの認定歯周病専門医のご資格をお持ちとのことですが、どのようなものか教えて下さい。またそのご資格は大学院の指導にどのように生かされているのでしょうか?

坂上:坂上:アメリカでは3年間の専門医コースを修了した普通の歯周病専門医と、その上の段階にあるボード機関の認定の認定歯周病専門医があります。認定取得のプロセスで何を学んだかというと、理論的な話の組み立て方と臨床的な決断を下す際の行動基盤となる判断基準です。「自分がこう思うから」ではなく、基礎的な教科書的内容とこれまでに報告された臨床に関する様々な文献などから根拠に基づいた臨床判断を下す。そして、1つ1つの根拠を患者さんに説明した上で話し合って納得してもらう。テクニックだけではなく理由付けを重視することが、臨床のレベルの向上につながります。そういった意識は、大学での研究と両立しながら行われる限られた臨床の中で、最高の治療を提供するためには特に必要になってきます。そのことを大学院生にも伝えるようにしています。

 

―基礎を重視した臨床ということですね。

坂上:臨床研究においてはどこまで解明されているのか、そしてこれから研究を進めるにあたって必要なことは何か、過去の論文などを参照しながら考え、日々の臨床現場においては、「この治療法を選んだらどうなるだろうか、どうしてそうなるのだろうか?」と考える。常にそういった研究者マインドを持つことがとても大事です。大学院の先生方は今は1つの研究の中でこうだろうか、ああだろうかと思考のプロセスをトレーニングしています。臨床の現場に帰ってきてそれを生かせば、ずっといろんな応用が利く臨床ができるようになる。そのためには大学院の研究に関する勉強の他に、歯周病の臨床に関することも勉強しなければいけません。だからうちの院生には研究のテーマを持つと同時に臨床的なことも並行してできるだけやってほしいと思っています。大学院で考え方のトレーニングをやる一方で、医局員として臨床的なバックボーンになることを勉強してくれれば、より高いレベルに達することができるんじゃないかと思います。

 

―(大学院生へ)臨床に関していえば、日本歯周病学会の認定医を取られた先生もいらっしゃるとか。

森:村上君と丸尾君の2人が日本歯周病学会の認定医を取っています。2人とも色々な面で努力しているのですごいと思います。

 

(大学院生に研究指導をする坂上教授)

 

―認定医はご自分が取りたいと言われて取られたのですか?

坂上:医局にいる先生達には全員が認定医を取るように言っています。何かそういう目標があって勉強した方が上手になっていきますから。ここの医局に入ったということは、臨床もやりたくて入ってくれたわけだし、臨床と両立しながら研究もやってくれる方が、将来においても絶対いいと思うので勧めているんです。

 

―大学院修了後の進路指導はどのようにされているのでしょうか?

坂上:本人の希望を聞いて、研究と臨床のどちらでいきたいのか、あるいは両立させる方向で行くのか、本人に合った方向で考えます。かつ医局にとっても双方がプラスになるために、修了後、教職員になってくれれば研究者としてのステップアップもあるので、そこは相談しながら進めていきます。大学に残るという形ではなくても、外に出たいというのであれば積極的に後押しします。個人が一番成長できる進路を探してあげるのが、責任者としては必要だと思います。

 

インタビュー中の坂上教授(インタビュー中の坂上教授)

 

―最後に、これから大学院を目指す学生さんや研修医の方々にお伝えたいことをお願いします。

村上:医局では、若手を中心に結構遊びに行くんですよ。先日もみんなで熊本の大津までマラソンに行きました。研究も遊びもどちらもしっかりやる。ここの大学院では、臨床ができて臨床のモチベーションを保ちつつ研究もできます。患者さんに携わりながら研究もしたい、歯周病に興味があるという人は気軽に門を叩いて下さい。

 

坂上:自分の中にリミットを作らず、チャレンジする気持ちを持って、研究にも臨床にも当たらないと成長がないですからね。各自がいろいろなことに積極的にチャレンジできるようにサポートをしたいと思っています。

 

坂上教授と大学院生の先生方(坂上教授と大学院生の先生方)

 

 

  お忙しい中、インタビューに御協力いただきありがとうございました。

 

【取材日:平成26年2月25日(火)/取材者:今吉理恵子(感染生物学分野講師)、松添知世(総務課職員)、土岐恭介(企画課職員)/撮影者:石橋幸恵(企画課職員)】

 

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