教員インタビュー

トップページ > 教員インタビュー > 阿南壽教授
  • オープンキャンパス
  • 教員インタビューについて
  • 教員組織
50音順リスト
あ か さ た な
は や ら わ

あ行
・阿南壽 (あなんひさし)
・池邉哲郎 (いけべてつろう)
・池邉哲郎 大学院fd
・石川博之 (いしかわひろゆき)
・石川博之 大学院fd
・稲井哲一朗(いないてついちろう)
・井上敏生 (いのうえとしお)
・内田竜司 (うちだりゅうじ)
・梅津桂子 (うめづけいこ)
・大星博明 (おおぼしひろあき)
・岡田賢司 (おかだけんじ)
・岡部幸司 (おかべこうじ)
・岡村和彦 (おかむらかずひこ)
・尾崎正雄 (おざきまさお)
topへ
か行
・香川豊宏 (かがわとよひろ)
・金子高士 (かねこたかし)
・金光芳郎 (かねみつよしお)
・川野庸一 (かわのよういち)
・城戸寛史 (きど ひろふみ)
・城戸寛史 大学FD
・古賀千尋 (こがちひろ)
・小島寛 (こじまひろし)
・児玉淳 (こだまじゅん)
topへ
さ行
・坂上竜資 (さかがみりゅうじ)
・坂上竜資 大学院FD
・佐藤博信 (さとうひろのぶ)
・篠原徹雄 (しのはらてつお)
・嶋田香 (しまだかおる)
topへ
た行
・髙橋裕 (たかはしゆたか)
・田中芳彦 (たなかよしひこ)
・谷口省吾 (たにぐちしょうご)
・長 環 (ちょうたまき)
・都築尊 (つづきたかし)
・鳥巣浩幸 (とりすひろゆき)
topへ
な行
・内藤徹 (ないとうとおる)
・永井淳 (ながいあつし)
・永嶋哲也 (ながしまてつや)
topへ
は行
・萩家康弘 (はぎややすひろ)
・埴岡隆 (はにおかたかし)
・馬場篤子 (ばばあつこ)
・早川浩 (はやかわひろし)
・日高真純 (ひだかますみ)
・廣藤卓雄 (ひろふじたかお)
・別府理智子(べっぷりちこ)
topへ
ま行
・松浦尚志 (まつうらたかし)
・丸田道人 (まるたみちと)
・壬生正博 (みぶまさひろ)
・森田浩光 (もりたひろみつ)
topへ
や行
・安河内ひとみ(やすこうちひとみ)
・山崎純 (やまざき じゅん) 
・山崎純 大学院FD
・山野貴史 (やまのたかふみ) 
・湯浅賢治 (ゆあさけんじ)
・吉永泰周 (よしながやすのり)
・米田雅裕 (よねだまさひろ)
topへ
ら行
topへ
わ行
topへ

「最先端の再生医学研究も患者さんの笑顔のために―飾らない人柄の歯科保存医」

── 口腔治療学講座 歯科保存学分野 阿南壽教授
 
■温和な笑顔の下には熱い情熱
「若い人がね、一生懸命やってないと僕は怒るんです」

 
——1年生の助言教員の幹事をされていますが、学生と接する中で心がけていることなどありますか?  
阿南: 学生の側にたってというのが1番の基本だと思います。みんなと仲良くやってほしいというかできるだけ橋渡し役になるようにと思っています。ただ、まだ道がはっきりしてない、気持ちがはっきりしていないような学生がいます。せっかくうちの大学を選んでくれたから、少しでも最初決めたことがまっとうできるように協力するということでやっていきたいと思ってます。こちらとしては「どうか?」とか言い続けることだと思います。
 おそらくどの先生もそうだと思いますけど「こうだ!」というマニュアルがないと思うんですよね。その学生に合わせて自分たちがその時に思うことを彼らに発して、できるだけ彼らの不安がなくなるようにするというのが役割かなぁと思ってます。
 
——それでまず声をかけるというところから始めるんですね。 歯内療法について説明する阿南教授
阿南: そうですね、治療するときも患者さんとコミュニケーションとるっていうのが大事だと思うんですよ。すごく優秀な人が患者さんにとっていい先生かっていったら必ずしもそうじゃないと思うんですよね。先生が自分の腕に溺れる感じになると患者さんはうれしくないだろうなと思うんですね。「やっぱり僕は一生懸命してくれる人が好きだ」って医局の人に言うんですね。だから「この程度やっておけばいいかな」という感じでやっているの見ると怒るんですよ、「そういうのが気に食わない」って。僕だって怒る時はありますよ。

——普段とても温和な阿南先生が、研究や診療に関しては非常に熱っぽく怒られると伺っていますが・・・

阿南: 歯科医でやっていくときに頑張ってやってほしいんですけど、大学ですので研究や教育があるわけですよね。精一杯やるということが大事で、「ここまで」っていうのが僕は気に食わないんですよ。いらぬお世話ですけど、それはしたいと思ってるんですよ。
 
——1年生にもそのように言われているんですか?  
阿南:

1年生にはそういうふうに言えません。相手のことがまだよく分かってない時にそういうことは言いません。

 
 
■歯科保存学の未来
「歯髄には歯を作るもとになる幹細胞が結構いるんですよ」
  

 

歯髄の説明図
歯髄の説明図
クリックで拡大します


——歯内療法学について教えてください。
阿南: 歯内療法っていうのは治療をするのが歯の中ですので対象になるのは主に歯髄っていうところになります。これは歯の中心部にある一般には「歯の神経」と言われてているところで、根尖孔っていう歯の根っこの先にある小さな穴から神経や血管がこの中に入ってきています。
虫歯になると、歯髄は病気になっていなくてもその中の神経の状態が変わってくるんですね。こういう時はやっぱりちょっと痛かったりするんです。そしたら、その痛みを鎮静するような処置をして、そこを修復したりします。ただ、今の歯科の技術ではですね、虫歯の影響を受けている歯髄を元に戻すことができないんで「神経(歯髄)をとる」っていう処置をします。そこをなんとか変えたいっていうのが私たちの目標です。
——どのように変えるのですか?
阿南: 幹細胞って聞いたことありますよね。iPS細胞とかありますが、ああいうのは遺伝子の操作で変化させた幹細胞なんですけど。もともと歯髄っていうところには歯を作る細胞が、つまり幹細胞のステムセルというのが結構いるんです。だから、この幹細胞をなんとか増やして歯を蘇えらせようというんです。歯髄っていうのはですね不思議なことに自分で歯を作れるんですよね。歯髄で幹細胞を増やしてそこの歯髄を作るようにして自分で象牙質を作らせて。ただエナメル質まで再生させるというのはちょっと難しいんで、歯の象牙質まで再生させて、その上をコンポジットレジンという白い硬い樹脂で綺麗に修復して治していったらいいんじゃないかっていうのが考えなんですけど。これをなんとか実現するのがここの歯科保存学の一つの大きなテーマっていう感じになってますね。
——実際にどういう段階まで研究は進んでいるんでしょうか?
阿南: まだまだ動物実験の段階とか培養細胞を使っての段階なんですよ。これを臨床の方でも実現させるためにはもっと基礎研究を積み重ねていかなければなりません。ただ全部歯髄を蘇えらせるっていうのはなかなか大変なんですが、歯が割れてたり欠けてたりするのを蘇えらせようっていう試みはしてます。そういう基礎データを積み重ねて、患者さんにそういうふうな応用ができるようにしたいと思っています。
 
■口腔医学と歯科保存学
「患者さんに笑顔で普通の生活をしていただくっていうのが 私たちの目標です。」
  
——口腔医学についてどのように考えられますか?  
阿南: 口腔医学は本当、体の健康を守る学問で、その対象となるのが口腔という臓器っていうことだと考えてます。その中で口腔の中で問題が起こることとすると私たちの担当する疾患としては齲蝕(うしょく)、つまり虫歯っていうことになります。で、虫歯が広がってくると……歯髄炎っていいますが……本当どこが痛いのかわからないくらい痛くて全然噛めないっていう状態にもなります。今度さらにそれが広がるとまた歯ぐきから膿が出たり、歯がグラグラ動いたり、さらに顔が変わるような病気にまでなりますよね。そういうことを起こらないようにしていく、もしくは残念ながらそういう風になってしまった患者さんの治療をさせていただくっていうことで、患者さんに……これもちょっとつやつける(格好を付ける)ような感じですけども……笑顔で普通の生活をしていただくっていうのが私たちの目標ですよね。
顕微鏡観察で歯髄炎について説明する阿南先生
——確かに痛みって堪え難いものがありますよね。  
阿南: そうなんです。特に私たちが受け持つのは急性のすごく痛くなってくる痛みで、しかもどこが痛いんだかわからないってなってることもあるんですよ。そういうのは痛み止め飲んでも効かなかったりします。それをできるだけ的確に判断して歯が原因になるところは私たち精一杯治療させていただく。ただそうじゃない非歯原性の痛み(歯が原因でない痛み)の時もあるんです。それは、ペインクリニックの先生方や心療内科の先生方と協力しながら、患者さんの痛みを診ていくっていう時もあったりします。だから私たちはその疾患っていうか虫歯を治療するっていうことはもちろん目標にはするんですけれども、患者さんのお口の中の悩みをなくして、その方が普通の生活をうまく送っていけるよう貢献するっていうのが私たちの考えている口腔医学っていうところです。
 精一杯、しかも一人だけじゃなくって医局全体がそういう風な意識でやっていくっていうのが大事だと思います。他科と協力しながらやっていかないと歯科保存学だけではいけないけど、でもやはり最新の専門知識も必要だと思うんで、私たちの知識技術を使って他科とも協力して、地域の方たちのQOLを守っていこうというのが福岡歯科大学医科歯科総合病院の目指しているとこだなあと思います。

 
■歯科保存学としての良心
 「取材とかで言われるんですよ、絶対残す方がいいんでしょ、とか」
    
——最後に、歯科治療でモットーにしていることを教えてください。  
阿南: 歯科保存学の先生だったら何が何でも歯を残そうとするって世間からは思われているみたいなんですけど、でも全部歯を「残しましょう」ってやるのが歯科保存学の良心だとは思わないんですよ。その患者さんの状況を見ていって、歯の保存の基準っていうのがあるんでそういうのを見ながらいろんな条件を考慮して、その歯を持たせるかもしくは抜いてインプラントに変えるかっていうのを患者さんに提案する必要があると思うんですよね。だから、ただ無闇に残すためにではなくて、そういう判断を提案するために、一つの分野として歯科保存学っていうのは必要じゃないかと僕は思ってます。
 なんか取材とかいただいたりするときに「先生、絶対、残すのがいいんでしょう?」みたいに言われるんですね。でも僕は「色んなケースがあるから、それに応じて考えるのが必要だと思うんです」と応えるんで話が弾まないんですよ。

ビデオメッセージ撮影で用いた統合型実技教育実習室
——歯科保存学のプライドにかけて、全ての歯を残す、絶対抜かない!みたいなのを期待しちゃうんですかね。  
阿南: そう、向こうはインプラントと対決させたいみたいな感じで(笑)。歯科保存学を専門にしていたらですね、普通の歯医者よりも長く残せることはあるかもしれません。でもいつまで残すかっていう判断が大事なんですよ。長く残せばそれでいいかっていうと結局最後に抜かないといけなくなったときに周りの骨が溶けてたりするんですよ。「あの時に抜いていた方がよかった」ってなるのはイヤですから。そこは難しいところだなあと思います。  
——歯はやはり抜かないですむなら抜かないでおきたいというのが人情ですよね。  
阿南: 歯って抜いちゃうってなるとほんと自分の寿命が縮むっていう感じになる方もいらっしゃるんですよ。歯が少なくなればなるほどそういう感覚は強くなるみたいです。でも、そういう不安に寄り添いながら、関わっていけるのが歯科医だと思うんですよね。  
——どうもありがとうございました。  
   
   

阿南教授からのビデオメッセージ

 
 
 

 

 

0