講師紹介

氏名:川口 稔
所属:歯科医療工学講座
   材料工学分野
学位:歯学博士

川口稔 講師

自己紹介

1977年に島根大学文理学部を卒業後、本学に赴任しました。現在、学部1年生の基礎物理学、基礎理科、医療工学、2年生の歯科理工学をを担当しています。基礎物理学では高校で物理を履修していない学生さんにもわかりやすい説明を心がけ、その中で歯科医療に必要な物理の基礎知識を習得できる内容の講義を行っています。医療で用いられる材料や器械は長足の進歩をとげています。診療室で毎日使う器材から先進の診断治療器具まで、口腔医学で必要とされる知識を物理的な観点から実践的な学びができる土台作りをモットーにして、教育指導にあたっています。



研究分野・現在の研究テーマ

 先端素材であるカーボンナノチューブはユニークな特性を持っています。その中でも照射された光を吸収して発熱する光熱転換作用を利用して、ガンの温熱療法への応用や失われた組織の再生をうながす温熱デバイスとする研究を行っています。これらの研究は学内外の多くの研究者との共同研究で行われています。

 アルギン酸ゲルにカーボンナノチューブを分散させて作成した貼付型温熱ゲルデバイスは近赤外線の照射によって発現する温熱制御が可能で、患部に貼付して体外より近赤外線を照射すると患部を所定の温度で加熱することができます。このデバイスを用いて骨欠損部(ラットの頭蓋骨に実験用に形成したもの)に温熱を付加すると、温熱を加えないものに比べて新生骨の形成が促進されることが明かとなりました。

ハイドロゲルデバイス

近赤外線照射によって温熱制御ができるハイドロゲルデバイス


新生骨形成の促進

温熱の付加によってラットの頭蓋骨に形成した欠損部の新生骨形成が促進する。

 

 またカーボンナノチューブをガン細胞に結合させた後に温熱を発現させて、ガン細胞を熱壊死させるカーボンナノチューブ/抗体複合体を調製しました。この複合体を生体内に導入して標的となるガン組織に結合させるためには、導入後に生体内で安定性を維持しつつ、正確に標的となるガン細胞を認識する誘導ミサイルのような機能が不可欠となります。そこでこの問題を突破するために、(1)カーボンナノチューブをDNA分子で処理して生体内環境下でも安定的に分散性を維持できるようにしました。その上で(2)このカーボンナノチューブに抗体分子を共有結合させて標的細胞との結合性を獲得できるようにしました。この抗体分子は標的となるガン細胞の種類に合わせて変えることが可能で、カスタムメイドな複合体を調製することができます。さらに(3)カーボンナノチューブと抗体分子を結合させる際の分子デザイン設計において、両者の間を分子鎖の長さを適切に調整すると、標的細胞との結合性が大きく向上することがわかりました。こうして調製した複合体によって新たな温熱療法の開発が期待できます。

図

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主な研究業績

・M. Kawaguchi, J. Yamazaki, J. Ohno, T. Fukushima, Preparation and binding study of a complex made of DNA-treated single-walled carbon nanotubes and antibody for specific delivery of a “molecular heater” platform, International Journal of Nanomedicine, 7: 4363~4372, 2012
・Y. Shinozaki, N. Mori, J. Ohno, M. Kawaguchi, H. Kido, T. Hayakawa, T. Fukushima, Rat calvarial tissues response to flowable DNA/protamine complex mixtures with DNA/chitosan complex to be used as a protective membrane for guided bone regeneration, Journal of Oral Tissue Engineering, 9: 159~166, 2012
・鍛冶屋 浩、堤 貴司、川口 稔、カーボンナノチューブによる温熱デバイスの構築と骨再生補助基材としての有用性の検討、福岡歯科大学学会雑誌、38: 145~151、2012
・M. Kawaguchi, J. Ohno, A. Irie, T. Fukushima, J. Yamazaki, N. Nakashima, Dispersion stability and exothermic properties of DNA-functionalized single-walled carbon nanotubes, International Journal of Nanomedicine, 6: 729~736, 2011
・ M. Kawaguchi, J. Ohno, T. Iwahashi, T. Fukushima, T. Hayakawa, Y. Doi, Bone response of DNA-chitosan-apatite complexes, Journal of Oral Tissue Engineering, 7:89-98, 2009.
・M. Kawaguchia, T. Fukushima T. Hayakawa, Y. Inoue, J. Ohno, Pre-intercalated DNA/Lipid/PLGA Film as a drug carrier, Journal of Oral Tissue Engineering, 6:97-105, 2008.
・M. Kawaguchi, T. Fukushima, T. Hayakawa, N. Nakashima, Y. Inoue, S. Takeda, Preparation of carbon nanotube-alginate nanocomposite gel for tissue engineering, Dental Materials Journal, 75: 723-729, 2006.

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外部資金獲得状況

CREST戦略的創造研究推進事業(平成20年度~)
科学研究費(1990年以降)
基盤研究(B)2件(分担)
基盤研究(C)5件(代表)5件(分担)
私立大学戦略的研究基盤形成支援事業、生体内環境を調和する硬組織再建システム(分担)

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教育業績

1 教育内容・方法の工夫

・講義(基礎物理学、医療工学)方法の工夫
(2010年4月)
歯科で必要となる物理学知識習得のために、歯科での応用例を示説して、効果的な知識定着がはかれるように方法の改善を行ってきた。

2 作成した教科書、教材、参考書

・歯科理工学教育用語集(第2版)
(2011年9月)
歯科理工学関連の専門用語を整理・統一した公認用語集

3 その他教育活動上特記すべき事項

・大学院生の教育活動
(2010年10月)大学院演習の指導(ナノ測定技術)
(2013年4月)大学院演習の指導(動物実験の基礎)

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学会等および社会における主な活動

日本歯科理工学会英文誌編集委員(~2013年3月)
日本歯科理工学会委員(2010年4月~2012年3月)歯科器材調査
日本歯科理工学会評議員(~2013年3月)
一般社団法人 日本歯科理工学会評議員(2013年4月~)法人化にともなう移行

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