学長式辞 平成21年度卒業式

 第三十二回福岡歯科大学卒業式並びに第二十二回大学院修了式を執り行うにあたり、一言、ご挨拶を申し上げます。

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんは、この六年間、歯学に関する専門教育を受け、大学人として十分な教養と良識を持っていることが認められて、卒業を許可されました。今日から、皆さんは、社会人として福岡歯科大学を卒業したことに誇りを持って、活動してほしいと思います。
 また、大学院を修了した皆さん、みなさんは大学卒業後、更に四年間の専門の陶冶と研究を行い、ここに晴れて博士の学位を受けることになりました。今年度は、初の早期修了者も生まれ、本学にとっても非常に大きな意味を持つ日となりました。皆さんにとって、この大学院での研究活動は、自己の成長を実感する証であると同時に、その一つ一つが医療を実践する上で、皆さんの大きな力となることと思います。
 
 日本は世界でも類を見ない長寿国となりました。一方、社会を支える活力である若者は減少を続けております。そのことに起因する歪は、医療、教育を含め、すでに社会のあらゆるところに生じております。現在、歯科医療を取り巻く状況には厳しいものがあり、皆さんはその中に一歩、歩を進める事になりますが、医療と教育は社会を支える根幹であり、社会にとって不可欠のものです。これからの高齢社会において、歯科医療、歯科医師の果たす役割はこれまで以上に大きくなることは疑う余地もありません。国民の健康を守るという崇高な使命をもって、医療を実践してくださることを強く望みます。
 皆さんはこの六年間、数多くの専門知識を身につけてこられましたが、それらは教科書に書かれたことを覚えたことによってできたのではなく、また、先生が繰り返し講義されたことを覚えたことによってできた訳でもありません。先生と接し、先生の言葉の奥に隠された意思を理解したことによって、また、数多くの教科書を読み、活字の下に隠されている意味や、活字で埋められていない行間を読み取ったことによって、身につけることができたのだと思います。ここに、皆さんが大学で学ぶ意味があり、大学で学んだ価値があるのです。
 皆さんは教科書から多くのことを学んだことと思いますが、本学での六年間で最も価値ある学びは、良き指導者としての患者さんの中にあり、日常の大学という空間の中にあり、皆さんを教授した先生、職員の中にあります。つまり、皆さんがこの大学で得た最も価値あるものは、そうした多くの人との日常的関わりの中で、絶え間なく面授された諸々の事象の中にこそあります。文字では表されない、言葉では表せない、歯科医学の奥義をそうした環境の中で学べたことを喜び、そうした機会を持つことができたことに感謝し、卒業後のそれぞれの環境の中で多くの師から面授されたことを生かし、大学での六年間の真の価値を見いだしていただきたいと思います。

 最後になりましたが、今日のこの日を一日千秋の思いで迎えられたご家族の皆様の慶びは言葉では表されない程深い深いことと拝察申し上げます。心より、ご子息、ご息女のご卒業をお祝い申し上げます。また、ご多忙にも関わらず、本日の卒業式にご列席くださいました、ご来賓の諸先生に厚く御礼申し上げ、挨拶とさせていただきます。