福岡歯科大学

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学部・大学院

口腔治療学講座について

講座概要

口腔治療学講座は、2大口腔疾患である「う蝕」と「歯周炎」、そして、主としてう蝕に継発して生じる「歯髄炎」、「根尖性歯周炎」の治療に関する学問分野を受け持っています。

主任教授挨拶

口腔治療学講座 歯科保存学分野 教授 松﨑 英津子

口腔治療学講座は、歯科保存学分野と歯周病学分野から構成されています。口腔医学の進展に寄与する歯科医師を育み「未来につなぐ」という考えのもと、講座の総力を挙げて卒前・卒後教育に取り組んでいます。
一方、研究面において、歯科保存学分野では、予知性の高いう蝕治療および歯内療法の基盤構築を目指し、象牙質−歯髄複合体および歯槽骨の再生機構をテーマとして、基礎と臨床を橋渡しできる研究を実施しています。また、歯周病学分野では、口腔医学の視点から歯周疾患の検査、診断、治療を網羅するようテーマを設定し、特に失われた歯周組織の再生に力を入れています。
当講座が担う歯科保存治療やそれにかかわる口腔医学研究が、「健康寿命の延伸」およびSDGs項目のひとつである「すべての人に健康と福祉を」へ貢献できるよう、日々邁進して参ります。

それぞれの名称をクリックすると、詳細情報に移動します。

歯科保存学分野

歯科保存学分野は口腔治療学のなかで、主に保存修復学と歯内療法学を担当しています。保存修復学は齲蝕(むし歯)や歯の損耗(tooth wear)および外傷などによる歯質の欠損を修復し、その歯を口腔内に維持する方法を考究する学問です。また、歯内療法学は歯質の欠損に続発する歯髄病変・根尖性歯周炎の予防・診断・治療について考究する学問です。歯科保存学分野では、これらの歯の保存治療の基盤となる領域を担当しています。
 当分野では、予知性の高い新たな齲蝕治療および歯内療法技術の開発を目指して、組織化学的、生化学的、分子生物学的手法を用いて、「象牙質の修復・再生」および「骨組織の修復・再生」をテーマとする研究活動を行っています。

教育の概要

第3学年

齲蝕学Ⅰ、歯内療法学

第4学年

齲蝕学Ⅱ
保存修復・歯内治療実習

第5学年

臨床実習Ⅰ

第6学年

臨床実習Ⅱ 臨床演習(歯科保存(修復)学・歯内療法学)

研究テーマ

・根尖性歯周炎の破壊と治癒のメカニズムの解明
・Bioactive Glassの歯内治療学領域への応用
・Sr含有Bioactive Glassを組成とする骨補填材の開発
・脂質メディエーターを用いた象牙質および歯周組織再生療法の開発
・口腔粘膜上皮におけるメカノセンサーの発現と機能調節
・歯の発生におけるアメロジェニン・スプライシングバリアントの発現解析
・外傷歯の保存療法に関する基礎的研究

外部資金獲得状況

・ 科学研究費補助金基盤研究(A) 代表1件、科学研究費補助金基盤研究(C) 代表14件
・ 科学研究費補助金基盤研究(C) 分担10件、科学研究費補助金一般研究(C) 代表1件
・ 科学研究費補助金若手研究(B) 代表9件、科学研究費補助金奨励研究(A) 代表2件

歯科保存学分野 所属教員

教授 松﨑英津子
講師 松本 典祥
講師 水上 正彦
助教 松本 和磨
助教 廣瀨 陽菜

歯周病学分野

生物学をベースとした歯周病学の教育

歯周治療学を中心とした歯科保存学の教育を担当しています。
卒前教育の目標は,3年次から4年次にかけての講義,4年次模型実習,5年次から6年次にかけての臨床参加型登院実習を通じて,歯周疾患の病理を理解し,的確な診断を行い、優れた治療計画をたてることができる歯科医師を養成することです。科学的な診断は基礎医学科目の知識なしに成り立たないので,それらとの関連性を重視した講義・実習を行うことを心がけています。

卒後の臨床研修における歯周治療学の教育

卒業後の臨床研修においては、歯周外科処置やメインテナンスについて豊富な臨床経験を持つことができるよう,カリキュラムを編成しています。

臨床にはじまり、臨床を指向する研究テーマ

できるだけ臨床に結びついた研究、成果を社会に還元できる研究を心がけて行っています。主要な研究のテーマは、ブラキシズム(歯ぎしり)などの咬合性外傷が歯周組織破壊を起こすメカニズムの解明です。さらに、低侵襲手術方法の開発、治療効果を厳密に判定できるX線規格撮影装置とソフトウエアの開発、抜去歯を再利用する再生療法の開発、BMPによるインプラント周囲の骨誘導、インプラントの臨床的研究や、3次元CTを用いた臨床診断法の開発など、幅広い分野の研究を行っています。

ポストゲノムの歯周治療をめざして

ポストゲノムシークエンス時代を迎え,歯周治療では,歯周疾患の二つの大きな要素~細菌と宿主~の遺伝子診断そしてオーダーメイドの歯周治療が可能になると予測されますが,その実現に必要十分な基礎データの蓄積はまだこれからです。
教室では数年前から歯周疾患における宿主-細菌相互作用を分子進化学的な手法を用いて調べる研究をスタートさせており,完成間もないゲノムデータを駆使し,宿主-細菌相互作用を分子レベルで深く追求するための分析機器や計算機資源などの基盤を整備したところです。また歯周疾患にかかりやすい体質を遺伝子レベルでつきとめるという点では,科学研究費の助成を得て,日本人において歯周疾患の先天的なリスクファクターとなりうるSNPs探索を進行中です。
 これらの研究の成果は,歯周病の発症のメカニズムを遺伝子レベルで理解することにつながり,将来の遺伝子診断や発症前診断にもとづいた予防に応用できると考えられます。

研究テーマ

1.ブラキシズム(歯ぎしり、くいしばり)に伴う顎口腔系の異常の診断と治療

ブラキシズムは肩こり、歯の破折、睡眠障害、補綴物の脱落、クリッキングなど顎関節の症状、歯の動揺、重篤な歯周炎の進行などの原因となっています。また、不定愁訴を訴える患者、歯の痛み(自発痛や打診痛)が消えない患者においてもブラキシズムが関与している場合があります。さらに、インプラント治療前の術前診査にもブラキシズムの有無の判定は必要です。しかしながら、簡便に臨床応用できるブラキシズムの診断装置が無かったために客観的な診断は困難でした。われわれは、ブラキシズムの診断装置を独自に開発し臨床応用しています。

2.咬合性外傷が歯周組織破壊をおこすメカニズムの解明

咬合性外傷による歯周組織破壊のメカニズムを研究するために、外傷の大きさと炎症の大きさを変えて動物実験を行いました。また矯正治療中に炎症が加わった場合の歯周組織破壊を動物実験で調べました。この研究は、さらに歯周組織がどれだけの咬合力に耐えられるかを決定し、補徹物のデザインを決める目安を作ったり、インプラントのデザインや本数を決定する指標となる研究へと発展させたいと考えています。

3.歯肉粘膜頬手術の新術式(低侵襲医療法)の開発

直径3mmのニードル型の歯肉採取器を独自に開発し、痛みの少ない短時間でできる、低侵襲の歯周外科手術方法で治療効果をあげています。

4.歯周組織の再生療法、破折歯の治療、インプラント治療の成果判定

歯周組織再生療法、破折歯の治療、インプラント治療などを行って、その臨床的治療成果に関する研究を行っています。

5.歯周病関連細菌の歯周ポケット内構成の多様性

・歯周ポケットの中に住みついて歯周炎の原因になると考えられている細菌(歯周病関連細菌)は、長い生命進化の歴史の中で歯周ポケット内での生育に最適化されてきた生物種と考えられます。
・最近ではTVコマーシャルに取り上げられたりもするPorphyromonas gingivalisは代表的な悪役細菌ですが、ほかにも、現在の技術では分離培養の困難な細菌も含めて、歯周ポケットの中の歯の表面には700種近い細菌が住み着いて、小さいながらも社会生活を営んでいると考えられています。その構成の個体差を調べて、それが歯周病の病状にどのように関わるかをつきとめると、新たな悪役細菌の発見、さらに新たな診断法や抗菌治療法の開発につながると期待されます。

6.実験的歯周炎マウスにおける宿主-細菌相互作用の解析

世界ではじめてマウスにPorphyromonas gingivalisを接種し、実験的に歯周炎を起こす実験系を確立しました。ヒトでは確認することが困難な、歯周炎発症初期の宿主-細菌相互作用の解析を行うための格好のモデルになると期待されています。

7.歯周病関連SNPsの同定

歯周病には、かかりやすい人と、かかりにくい人がいます。そのような「体質」は一体どこで決まるかというと、それは遺伝子やゲノムであると考えられます。倫理的な面には十二分に配慮しながら、きたるべき歯周疾患の遺伝子診断にもとづいた発症前治療に向かって基礎データを集積しています。

歯周病学分野 所属教員

教 授 坂上 竜資
准教授 吉永 泰周
講 師 大城 希美子
助 教 丸尾 直樹
助 教 大和 寛明

研究業績